高所での作業が日常の配電工。しかし、ベテランの域に達した彼から飛び出したのは「実は高いところが苦手」という意外な言葉でした。
ジェットコースターにも乗れない彼が、なぜ命綱一本で電柱に登れるのか。そして、飾らない言葉で語られる「青森で働くこと」のリアルとは。
仕事の厳しさと、その先にある生活の変化について、じっくりと語っていただきました。
ジェットコースターは絶対無理。
でも、「仕事」なら登れるパラドックス
── 配電工といえば高所作業がメインですが、昔から高いところは平気だったんですか?
いえ、全然ダメです。
ジェットコースターなんて無理ですね。観覧車も無理。遊園地の乗り物は基本、全部怖いです(笑)。
だから入社して初めて電柱の上から下を見たときは、率直に「あ、怖っ」て思いましたよ。「なんで俺、電気工事なんて入っちゃったんだろう?」って後悔したくらいです。
── 苦手なのに、なぜ続けられているんでしょうか。
やっぱり「慣れ」ですね。人間、毎日やっていると順応していくもんです。
それに、仕事での高さとジェットコースターの高さは、恐怖の種類が違うんですよ。
僕、「高所作業車(バケット車)」よりも、自分の体一つで電柱に登る「素昇り(昇柱作業)」の方が怖いんです。
普通は機械に乗るほうが高いし怖いと思われがちなんですけど、逆なんですよね。
── 「素昇り」の方が怖い? それはなぜですか。
高所作業車の場合、事故が起きるとしたら「車に大型車が突っ込んでくる」とか、作業を始める前に「アウトリガー(安定させる足)の設置をミスした」とか、登る前の段階に原因があることが多いんです。
でも、自分の足で登る「素昇り」は違います。
電柱の上で自分の判断を一つ間違えたり、足の掛け方を一瞬忘れたり……ほんの少し気を抜くだけで、大怪我じゃ済まない事故へと直結してしまいます。
命綱一本、自分の判断だけが頼り。その「自分がミスしたら終わり」というプレッシャーがある分、やっぱり素昇りの方が緊張感はありますね。
逆に言えば、その怖さを知っているからこそ、慎重になれるのかもしれません。
技術者としての「節目」と、変わらない冬の厳しさ
── 2014年の入社から長く続けられていますが、ご自身で「成長したな」と実感する瞬間はありますか?
実感はないかな……ただ毎日淡々とやっている感じです。
あえて言うなら、新人の頃に「高所作業車の操作」を任された時は、「あ、一つ上の段階に上がったのかな」という感覚になりました。
でも、そこから先はずっと平坦です。
一度乗れるようになったら、あとはそれを安全を優先しながら継続していく毎日ですから。劇的なドラマはないですが、いつの間にか手に職をつけていたんだなと実感しています。
── 職業病のようなものはありますか? 街で電柱を見てしまうとか。
県外に行くとちょっと見ちゃいますね。「あれ、作りが違うな」とか。
自分たちが普段たずさわっている青森の仕様とは物が違うし、「こんな方法があるんだ」って感慨深いですね。
そこから調べたりはしないんですけど、「へえ〜」って思いながら、広く浅く関心を持つようになりました。
── 青森の冬の作業は過酷だと思いますが、どうやってモチベーションを保っているんですか?
もう「耐える」しかないですね(笑)。
「頑張って手を動かしていれば、春は必ず来る」と言い聞かせています。
どう乗り越えるかではなく、ただひたすらに手を動かしてやり過ごす。それが「雪国の職人のリアル」じゃないですかね。
生活リズムはそのままに、晩酌が「グレードアップ」した
── チームの雰囲気はどうですか?
いいと思いますよ。同世代も多いですしね。
若いけど年齢が少し離れていたり、逆に7つくらい違っても世代的には一緒の感覚で話せたり。仲は良いと思います。
── 入社してから生活や時間の使い方に変化はありましたか?
変わらないですね。
休みになったら買い物に行って、帰って飲んで寝て。それが幸せな休日です。
自分の中では、仕事とプライベートが無理なく両立できていると感じます。
── 変わらない良さがある一方で、長く働いていて変化した部分はありますか?
そうですね……、「使えるお金」は増えましたね。
入社当時と比べれば、楽しみの中身が少し「グレードアップ」したかもしれません。
── グレードアップ、ですか。
お酒のランクが上がりました(笑)。
昔は安い缶チューハイでしたけど、今はハイボールとか、ちょっといいウイスキーばっかり飲んでいます。
生活のスタイルは変えずに、その質が豊かになった。劇的な変化はないけれど、好きなものを飲んで寝る余裕がある。それが長く続けている理由かもしれません。
青森の魅力は「ない」。それでも僕がここにいる理由。
── ズバリ聞きます。東京などと比べて、青森で働く魅力は何だと思いますか?
これ、正直に言っていいの? ……魅力は「ない」です(笑)。
友達も家庭を持って疎遠になるし、冬はずっと雪だし、道の状況も悪いし。暮らしやすいとは言い難いですね。
── かなり正直ですね(笑)。それでも他県へ行かず、アペックで働き続けているのはなぜでしょう?
うーん、確かに青森は不便です。
でも、じゃあ他県に行って一から何かをする気力があるかと言われれば……「アペックで働くほうがいい」ってなるんですよね。
働いて安定した生活を送れることに満足していますから。
5年後の大きな野望はないですけど、「足腰健康に仕事を続けていけばいいな」と思っています。
── 将来への不安があまりないように聞こえます。
そうですね。
人生については……たぶん、「会社がうまくやってくれる」んで(笑)。
── 「会社がうまくやってくれる」。すごい信頼感ですね。
自分であれこれ必死に計画しなくても、会社に任せて、誠実に目の前の仕事をしっかりやっていれば、人生が前進していくんです。そういう安心感はある会社だと思います。
だから、あえて県外に出る必要を感じないんでしょうね。
── 最後に、応募を迷っている方へメッセージをお願いします。
気の利いたこと言うの、苦手なんですよね(笑)。
まあ、オーソドックスですけど、「いい会社なんでお待ちしています」。
一緒に頑張りましょう。
